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花火豆知識

花火の観覧のしかた




 ◆単発花火の見方

(1)座り

 花火玉が昇り切って、下る時の境目を「座り(すわり)」という。この下る瞬間に花を開かせるのが理想で、これを「玉の座りが良い」という。

(2)盆

 花火玉が開き、星(色や光を出す火薬の玉)が飛び散って描かれる円を「盆」という。この盆が完全な円形で大きいほど良いとされる。開いた星の間隔は、均整のとれた配列でなくてはならない。

(3)肩

 花火玉が開いて星が水平に飛ぶのを「肩のはりがよい」、広く飛散するのを「肩が広い」という。一斉にそろって飛散することが大切で、抜け星(飛ぶはずの星が欠けている)や、流れ星(ふらふらとさまよう星)があってはいけない。

(4)消え口

 星は一斉に開き、その光り具合は均一で、光と色の変化は揃って行われることが大切である。特に光の美しいものが良いとされ、星のつややかな色合いは最大の魅力となる。消え際も同様で、吹き消すようにふっと消え、残り火があってはいけない。



◆スターマイン(連発花火)の見方

スターマインは花火の王者ともいわれ、一斉に数百数千の星が夜空にきらめく、豪華な花火である。花火の組み合わせによる総合的な美を鑑賞するものなので、個々の花火のできはもちろんだが、まず、花火の色彩や形の組み合わせ方が、制作の意図(題名)によくマッチしているかどうかを見る。さらに連続発射のタイミングが適当で、一本調子にならず、緩急自在であるかどうかが重要である。また星の光が鮮明で、かつ変化に富み、炸裂する音響がリズミカルで快い響きを発しているか、最後まで感動的であるかどうかも大切なポイントになる。



◆玉名のつけ方

 それぞれの花火には名前がついている。ころを「玉名」という。玉名は色彩、形状、変化など個々の花火の全体像を表しているので、あらかじめ分かっていれば、次にどんな花火が上がるのかだいたい想像することができる。花火師たちはひとつひとつの花火玉に、思い通りに咲いて欲しいという願いを込めて玉名をつける。

 玉名には、具体的につける方法と、抽象的につける方法とがある。
 例えば、「変芯変化菊」という玉名は、色の変化する芯を持ち、花弁の一片一片も変化する菊の花、という、その変化を具体的に表したものである。
 もう少し複雑なものを見てみよう。「黄緑変芯錦先紅緑光露菊」という玉名の花火は、芯が黄から緑に変化し、金色の菊の花弁の先が紅、緑に変わり、さらに最後に花弁の先がピカッと光って消える(光露)花火を表している。

 また「雷入輝光片曳柳」とある場合は、昼または薄暮に打ち上がる花火で、雷のような音を伴い、昼の明るいうちでも光り輝き、片側一方に柳のように光が垂れ下がる、まばゆいばかりの花火である。

 このように玉名には、星の変化の過程を具体的に言葉で表現することがほとんどである。しかし、イメージを抽象的に表現する場合もある。例えば、「大空の楽園」と名付けられた花火は、変化の具合などは一切不明であるが、楽園という言葉のイメージから、紅や緑、青、黄など色とりどりの星が大空でいっぱいに咲きほこり、賑やかな音のする花火であることが想像される。抽象的なタイトルから打ち上がる花火を想像するのもまた楽しいものである。

 スターマインの名称は玉名といわず、「題名」と呼ぶ。この題名には、玉名に比べより多くの重要な意味が込められている。すなわち、個々の花火の組み合わせが意図するそのスターマイン全体のイメージやテーマ、花火師の狙いなど、全てを表現する役割を持っているのである。
 特に、花火の競技会などに出品するスターマインの題名は、花火師たちが最も知恵を絞り、頭を悩ませるところである。

 事実、競技会の花火では玉名も題名も、その花火の優劣を決定する重要な要素である。ことにスターマインにおいては、題名と合わない内容のものは、いかに素晴らしいできばえでも、大減点の対象となり、優勝を逸することにもなりかねない。
 このスターマインの題名は具体的な表現と抽象的なものとを折衷してつけられることが多い。

 例えば、「芯菊先割工都の繁栄」とあれば、芯のある菊の先が割れて、賑やかな音を発する花火で、工業都市の繁栄を願うという意味の折衷型題名のスターマインである。
 また「さざ波の湖畔彩る秋の花」とあればこれは完全に抽象的な題名である。しかしながらこの題名でも、花火師たちには、湖を表現する青色の花火を主体に、さざ波のように点滅する花火を混ぜて打上げ、秋の花を表現して黄菊白菊のような小菊を数多く打ち出し、最後に銀の星で風になびく尾花の風景をいっせいに豪華に打ち出して終わるものであろうと予想がつくのである。

 このように花火の玉名と題名は多種多様であるが、花火の内容と深い関係があり、実に奥深いものである。

 花火の見方、玉名のつけ方のルールを念頭において花火大会を観賞すれば、花火に対する興味がますます深まるであろう。


(引用:花火うかれ 全国花火大会と楽しみ方図鑑)