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花火豆知識

花火の撮影方法




花火撮影は難しい。しかし、コツをつかめば、あとは工夫しだいでさまざまな雰囲気の作品を創ることができる楽しい被写体です。

◆必要な機材と撮影場所の選び方

 花火は夜の撮影だが、それ自体が発光体なので大変明るく、高感度フィルムではなくても中感度(ISO100)のもので十分に写る。
 撮影はシャッターチャンスが連続して生じるために、フィルムの交換を考慮すると36枚撮りが便利であろう。
 撮影レンズは、単焦点よりもズームレンズが便利である。花火大会の当日はどこもどこも大混乱し、三脚を据えた撮影では途中で撮影場所を移動するのは困難である。その点ズームレンズならば画角が連続して変わるために、そのままの位置で広くしたりアップしたり、自由な画面が構成できる。単焦点レンズに比べてFナンバー(絞りの度合)が暗いものが多いが、花火の場合は夜でも明るく、F8ぐらいまで絞って写すので、F2・8以上の大口径の明るいレンズの必要はない。
 一眼レフカメラではシャッターにバルブ(シャッター開放機能)つきものが必要である。割物花火やスターマインなどのように数秒から数十秒の間変化し続ける花火のタイミングをつかむには、シャッターの開閉に直接連動するバルブつきのものが最適といえる。
したがって、旧式の一眼レフカメラでも十分で、最新のハイテクAF一眼レフの必要はない。
 コンパクトカメラでは、夜景モード機能の付いた機能が必要である。夜景モードのない機種はシャッタースピードが低速側に余裕がないために花火が点線となって写り、美しい曲線が見られない。したがって使いきりカメラでは美しく写すことはできない。
 三脚は長時間露出に必要な機材である。使用カメラの重さにぐらつかず、少しの風でも振れず、縦横の変換が簡単なものが便利だ。いつも風景撮影用に使用している機種より1回り大きいものが目安となる。
 ブレ防止のためレリーズはシャッターボタンに直接取り付けるケーブル式と、カメラ横の接点に接続する電子式とがあり、どちらでも問題はないが、バブルシャッターを開放に固定できるストッパーつきのものを準備する。
 ストロボは、打上花火を写すときには使用しないが、前景に人物などを取り入れた花火大会の情景描写には必要である。子供たちがおもちゃ花火で遊ぶスナップ撮影では、ストロボ使用で表情がはっきりとつかめる。
 次に、撮影場所の選び方であるが、花火に橋や船など情景を取り入れたアングルが望める場所は、どこの大会でも大混雑するので、明るい内から待機することが必要だ。三脚が安定する場所を確保することも大切であり、川べりの軟弱な地盤や、急造の桟敷などは避けるようにする。桟敷から降り、床下の前方に出ると最高の撮影場所となる。
 また、猛烈な煙が出るので風下には行かないこと。海岸では夜になると風向きが変わるので注意することが大切だ。


◆情景を取り入れた撮影法

 花火に夜景を取り入れた構図では、両者の露出合わせがポイントになる。
 夜景の場合、フィルムの感度はISO100で、露出は花火の標準値であるF8に合わせる。露出時間は10秒から1分ぐらいとなり、露光中に打ちあがる花火はすべて写り込むため、必要な花火を取り入れて不要なものを取り除く作業が必要になる。
 セレクトは、レンズの前を黒い紙などで瞬間的に遮って、写したくないものをカットしていく。遮光用の黒い紙はやや厚手のものが扱いやすく、団扇の片面を黒く塗って使用すると、涼風の効果も得られ好都合である。
 シャッターを押すタイミングは花火の打上げ音に合わせて行う。その際は、カメラを三脚に取り付け、レリーズでシャッターを切る。夜景と花火の両方が上手くおさまると完成だが、なかなか納得のいく写真は簡単にはできない。暗くて露出計は役に立たないので経験とカンに頼るしかなく、露出時間を変えて何枚も写すことが必要であろう。
 ピントは一度決めると動かすことはないので、レンズのピントリングを粘着テープで止めておくと安心である。


◆クローズアップ撮影法

 地上の撮影では被写体に近づいてクローズアップするが、上空の花火は望遠レンズで引き寄せて大きく写す。クローズアップで花火の一部を切り取ってみると抽象画を見るようで美しい世界である。花火芸術の真髄といえる色の変化や消え口の美しさなどはクローズアップ撮影によって見ることができる。どの方向から見ても丸い日本特有の割物花火は、瞬時に開き色を変え同時にふっと消えていく。その消え際に一瞬の美があり余韻も残る。日本文化の伝統的な美である「侘」や「寂」が感じられる。
 花火には、黄、赤、緑、青とさまざまな色がある。クローズアップ撮影では色の違いによる明るさの差が問題となり、最も明るい色は黄色で、次が赤となり緑、青と続いていく。その差はフィルム感度がISO100の時、黄色はF11、赤はF8、青と緑色はF5・6の順となり、絞り値を変えることで、それぞれの適正露出で得られた花火の色は、同じ青でも一様でなく微妙な差が見られる。実際の撮影場面では花火を見てから絞り値を変えることは、カメラぶれが生じてしまいできない。そのためにあらかじめ大会本部でプログラムを入手しておくと、時間ごとの打上げ順と花火の種類がわかり、おおよそのの色がつかめる。割物花火の玉名は独特の表現だが、変化の順序に書かれているためにすぐに理解できる。
 花火は一般に追跡撮影するものではなく、暗い空にシャッターを開いておき花火が入るのを待つ撮影法なので、構図が決めにくい。しかし、打上げられるいくつかの花火の位置を見ると開花の場所がつかめるので、見当をつけ、シャッターを開いてまつ。一眼レフは露光中ファインダーが見えなくなるので、写る範囲の見定めが大切なポイントとなる。クローズアップ撮影は露出や構図が決めにくいために失敗もあるが、偶然に素晴らしいものができることもあり、現像の仕上がりが楽しみな撮影である。
 クローズアップ撮影は情景を取り入れた撮影法よりも撮影場所の制約が少ないために、場所を確保する必要もなくゆっくりと写せる。


◆少し変わった撮影法

 ソフトフィルターを使用すると輪郭がにじんで幻想的な画面となる。ソフト効果はコンストラクトの強い場面に強く生じるもので、人物や花の撮影に使用するときよりも弱めのもので強い効果が得られる。
 露光中にカメラを動かし、流れるような花火を撮影することもできる。上下に振ると上下方向の線、丸く回すと回転する輪ができる。カメラを固定して広角からアップにズーミングすると、放射状の軌跡を描く効果と花火の流れが合わさり、複雑な線が描ける。ピントリングを急激に回すとピンぼけが大きくなって、海底のイソギンチャクのような先の尖った太い線が得られる。
 このように花火はストレートに写すだけでなく、フィルターやテクニックを駆使して、自分の描くイメージによって撮影することもできるのである。


◆おもちゃ花火の撮影方法

 子供たちが喜ぶおもちゃ花火の撮影はコンパクトカメラでも写せます。
 花火自体が明るいため、子供の表情はストロボなしでも写せますが、ストロボを一 発あてると、より効果的です。
ストロボは強制発火モードにセットすると確実に光ります。背後に距離をとると背景 が暗くなって夜の雰囲気が生じます。
 一眼レフカメラではシャッタースピードを2分の1秒か1秒にセットします。スト ロボは一段弱めに光量補正することで、人物が自然な感じに写され楽しい雰囲気が描 けます。

(引用:花火うかれ 全国花火大会と楽しみ方図鑑)