◆情景を取り入れた撮影法
花火に夜景を取り入れた構図では、両者の露出合わせがポイントになる。
夜景の場合、フィルムの感度はISO100で、露出は花火の標準値であるF8に合わせる。露出時間は10秒から1分ぐらいとなり、露光中に打ちあがる花火はすべて写り込むため、必要な花火を取り入れて不要なものを取り除く作業が必要になる。
セレクトは、レンズの前を黒い紙などで瞬間的に遮って、写したくないものをカットしていく。遮光用の黒い紙はやや厚手のものが扱いやすく、団扇の片面を黒く塗って使用すると、涼風の効果も得られ好都合である。
シャッターを押すタイミングは花火の打上げ音に合わせて行う。その際は、カメラを三脚に取り付け、レリーズでシャッターを切る。夜景と花火の両方が上手くおさまると完成だが、なかなか納得のいく写真は簡単にはできない。暗くて露出計は役に立たないので経験とカンに頼るしかなく、露出時間を変えて何枚も写すことが必要であろう。
ピントは一度決めると動かすことはないので、レンズのピントリングを粘着テープで止めておくと安心である。
◆クローズアップ撮影法
地上の撮影では被写体に近づいてクローズアップするが、上空の花火は望遠レンズで引き寄せて大きく写す。クローズアップで花火の一部を切り取ってみると抽象画を見るようで美しい世界である。花火芸術の真髄といえる色の変化や消え口の美しさなどはクローズアップ撮影によって見ることができる。どの方向から見ても丸い日本特有の割物花火は、瞬時に開き色を変え同時にふっと消えていく。その消え際に一瞬の美があり余韻も残る。日本文化の伝統的な美である「侘」や「寂」が感じられる。
花火には、黄、赤、緑、青とさまざまな色がある。クローズアップ撮影では色の違いによる明るさの差が問題となり、最も明るい色は黄色で、次が赤となり緑、青と続いていく。その差はフィルム感度がISO100の時、黄色はF11、赤はF8、青と緑色はF5・6の順となり、絞り値を変えることで、それぞれの適正露出で得られた花火の色は、同じ青でも一様でなく微妙な差が見られる。実際の撮影場面では花火を見てから絞り値を変えることは、カメラぶれが生じてしまいできない。そのためにあらかじめ大会本部でプログラムを入手しておくと、時間ごとの打上げ順と花火の種類がわかり、おおよそのの色がつかめる。割物花火の玉名は独特の表現だが、変化の順序に書かれているためにすぐに理解できる。
花火は一般に追跡撮影するものではなく、暗い空にシャッターを開いておき花火が入るのを待つ撮影法なので、構図が決めにくい。しかし、打上げられるいくつかの花火の位置を見ると開花の場所がつかめるので、見当をつけ、シャッターを開いてまつ。一眼レフは露光中ファインダーが見えなくなるので、写る範囲の見定めが大切なポイントとなる。クローズアップ撮影は露出や構図が決めにくいために失敗もあるが、偶然に素晴らしいものができることもあり、現像の仕上がりが楽しみな撮影である。
クローズアップ撮影は情景を取り入れた撮影法よりも撮影場所の制約が少ないために、場所を確保する必要もなくゆっくりと写せる。
◆少し変わった撮影法
ソフトフィルターを使用すると輪郭がにじんで幻想的な画面となる。ソフト効果はコンストラクトの強い場面に強く生じるもので、人物や花の撮影に使用するときよりも弱めのもので強い効果が得られる。
露光中にカメラを動かし、流れるような花火を撮影することもできる。上下に振ると上下方向の線、丸く回すと回転する輪ができる。カメラを固定して広角からアップにズーミングすると、放射状の軌跡を描く効果と花火の流れが合わさり、複雑な線が描ける。ピントリングを急激に回すとピンぼけが大きくなって、海底のイソギンチャクのような先の尖った太い線が得られる。
このように花火はストレートに写すだけでなく、フィルターやテクニックを駆使して、自分の描くイメージによって撮影することもできるのである。
◆おもちゃ花火の撮影方法
子供たちが喜ぶおもちゃ花火の撮影はコンパクトカメラでも写せます。
花火自体が明るいため、子供の表情はストロボなしでも写せますが、ストロボを一 発あてると、より効果的です。
ストロボは強制発火モードにセットすると確実に光ります。背後に距離をとると背景 が暗くなって夜の雰囲気が生じます。
一眼レフカメラではシャッタースピードを2分の1秒か1秒にセットします。スト ロボは一段弱めに光量補正することで、人物が自然な感じに写され楽しい雰囲気が描
けます。